<今日の表紙>名古屋伏見の歩道横に咲いていたクチナシの花
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歩道を歩いていたら白い花が目につきました。DSC09926


最近の読書は、再読を楽しんでいます。今、楽しんでいる本は伊丹十三が昭和47年に書いたエッセー「再び女たちよ!」です。011
昭和47年というと僕が大学3年(21)の時代です。当時の伊丹十三は俳優で活躍しているときです。

伊丹十三は、映画「マルサの女」や「スーパーの女」「お葬式」などで映画監督としても活躍して、平成9年12月に自殺をして、突然この世から64歳で去りました。013


今の時代でも笑える内容がいっぱいです。

ちょっとご紹介します。
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<キザ>
イギリスの金持ちが二人、コンノート・ホテルのロビーでコーヒーを飲みながらヨーロッパ旅行の相談をしていたとお考えください。
乗り物は何にしよう、ロールスでいいんじゃないか、じゃあそれに決めようというので、早速秘書が連絡をとると、目と鼻の先にあるバークレ・スクエアからロールス・ロイスのディーラーが飛んでくる。カタログなど仔細に検討したあげく、銀色のシルバー・クラウドを購うことに一決した。
金持ちの一人が言った。
「勘定はどうしようかね?」
もう一人の金持ちが小切手帳を出しながら答えた。
「割り勘でいこうじゃないか。どうだろう、車はぼく、コーヒーは君が払うということで」

日本の役者は、貧乏人をやらすと、みんな本当にうまい。それはもう見事なものですが、逆に金持ちということになると、さよう、二流会社の社長程度でもすでに怪しい。いわんや大企業の会長なんていうことになると手も足も出ないのである。まるでさまにならない。・・・・・・・・・・・・・・・

どうもわれわれの性根は根本的に貧しくできているらしい。

私が実践したキザを一つだけ書くなら、去年秋私は女房とお揃いで爪皮を作った。爪皮というのは今の若い人はご存知なかろうが、雨の日に下駄の爪先につけて足先きの濡れるのを防ぐ道具であります。この爪皮をルイ・ヴィトンの鞄をばらして作った。(鞄の値段は書かぬ)銀座の阿波屋さんの年取った職人さんが、「でも、いいんですか、ほんとうに」といいながら、新品のルイ・ヴィトンの鞄を鋏でジョキジョキと切っていった。015

私も女房もこの爪皮は死んでも雨の日には使わないつもりだ。
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<盃と箸袋>
ついでにいうと、酒飲みのことを左ききというところから、盃は左手で持つもんだと思い込んでいる人がいますがーーあれはそもそも江戸時代の大工さんの隠語なんだそうですね。つまり右手に槌を、左手に鑿(のみ)を持つわけでしょう、大工さんというものは。そこで右手を槌手、左手を鑿手と言ったわけで、それでまあ飲み手、つまり酒飲みが左手、左ききというようなことになったーーと、そういうことを瀧川政次郎さんが書いてらっしゃる。盃を右で持とうが左で持とうが、要するに酒飲みは左利きなんですね。
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<わが思い出の猫猫>
「だから犬はいやなんだよ。おれはそんな工合にべたべたと感傷的なつきあいしたくないんだよ」
「あなたは冷たいのよ」
「冷たくてもなんでもいいけど、ともかく犬はいやだ。夏の盛りに人前で交尾したり、横目で人の顔色みたり、あ、それからあれもいやだなあ。犬ってのはさ、爪が引っ込まないじゃないの。だから夜、アスファルトの道なんかでさ、犬は爪の音立てて走ってもんね。どうも犬ってのは下等だね。浅ましい感じだね」
「なにいってんのよ。そんなら猫はどうなのよ。猫なんて人を利用して生きている我利我利のエゴイストじゃないの。自分さえよけりゃ人はどうでもいいのよ。冷たくて陰険で、あなたと同じよ。犬の方がよっぽど高級よ」
「犬なんてのはさ、一番偉くなってせいぜい狼だろ。猫の偉いのは豹、虎、ライオンだからねえ、まるで格が違う」
「そんなことなんの関係があるの。猫はライオンじゃないじゃないの」
「そう。猫はライオンじゃないかも知れん。でもね、動物園に行って見てごらん。ライオンは確実に猫だよ」
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<済んでしまった!>
うろ憶えで申し上げるのだからあまり自信はないが、それは例えば、十代の恋、二十代の恋、三十代の恋、という風に実現する、というのだ。初々しい春の恋、烈しい夏の恋、そうして、静かな、かつ味わい深い秋の恋ーーそいいう工合にして、人間は生涯三回だけ恋をすることができるのだという。・・・・・

そういうわけで、私は恋愛三回説というものをなかば信じざるを得ない。
なかば、というのはーー私は断腸の思いで告白するのであるが、私は、実はもう三回恋をしてしまったのである。これは、困った!どれか一つを「あれは、もひとつ本当じゃなかったな」などといって数に数えなければ前途はすこぶる輝かしいものになるに違いないのだが、・・・・・

「女は恋を恋するに始まりて男を恋するに終わり、男は女を恋するに始まりて恋を恋するに終わる」・・・・・

それにしても少し気になってきたな。女たちは、私とのことを、三回のうちの一回に数えているのだろうか?果たして。
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<道筋>
道筋が変えられなくなってきたらーーそれがタクシーの道筋であれ、散歩の道筋であれ、あるいは物事を考えたり行動したりする道筋であれです。--それが変えられなくなってきたならば、自分も老化しつつあると考えていいと思う。
男の稟質(ひんしつ)のなかで最も貴重な動力は、自らを変革する能力でしょう。
されば、男たるもの、日常生活の中に忍び込む精神の硬化と常に闘うためには、タクシーの道筋を撰ぶ際といえども柔軟な思考を疎かにするべきではないと考えるが如何?
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年をとってもいろいろ楽しめると言う事が「若さを保つ」ということですかね。

  いろいろと楽しめること探すのが若さを保つことにつながる

今がきれいな日日草とDSC09880
ジニアでお別れします。DSC09881


今日の曲は、家入レオ 君がくれた夏